前回のキジ白絵で、複数画材を併用する手法をテストしました。こうした手法自体は目新しいものではなく、世間では「ミクスト・メディア(mixed media)」と呼ぶらしいですね。
ただググってみた感じだと(特に画像検索)、なんとなく自分が思ってるのと違う感がぬぐえない。「ミクストメディア」として制作されている作品はどれも、異なる画材同士がぶつかり合うインパクトのようなものを狙った、前衛的なものが多い。
「ミクストメディア」の定義自体、まだ曖昧なところがあるために入り乱れ過ぎてカオスな状態になっているせいもあると思いますが。
自分が猫を描く上で「ミクストメディア」に期待しているのは、ある画材の短所を別の画材でフォローすること、それぞれに得意とする質感表現を生かすこと、コストや作業時間を節約すること、このあたりです。
例えばアクリルの、乾燥すれば耐水性になる性質は下塗りには良い。猫の毛並みの繊細な表現は色鉛筆が好ましい。ただし広い面積を手早く塗るには鉛筆系より絵具系のほうが優れている(猫以外の背景などは、必ずしも色鉛筆である必要はない)。
といったところです。
画材同士が喧嘩するような勢いのインパクトは、別に求めていないのです。
むしろ、それぞれが画面の上で自然な感じに協調してくれれば一番良い。目指すならそういう方向にしたい。
とか言うと偉そうに聞こえますが、見方を変えれば、単一の画材では自分の腕の未熟さが目立ち過ぎるので(カテゴリごとに超絶技巧な大家がいくらでもいるので)、画材を複数使ってフォローしようと(要するに誤魔化そうと)しているだけとも言えますが。
自分のような凡才には、特定の画材にこだわって極めていく正攻法のやり方では、一生かかっても素人の域を出られないかも知れませんのでね。
ところで、検索の仕方が悪いのか、自分が目指しているような方向での「ミクストメディア」を採用している作家は見つけることができませんでした。
なので、自分で模索していくしかありません。前回は新規の画材のテストを兼用していましたが、今回はなるべく既存の画材を組み合わせて、実用的な技術ですとか、作業工程とかを作り上げていくことを目的としたいと思います。
と言うわけで使うのは、ヴィフアールブロックにアクリル、透明水彩、色鉛筆とします。
原画は『CATAG|フリー画像・写真素材集』さん(現在なぜかリンク切れ)からお借りします。制作は次回からの予定です。